さよならストレンジャー。

当たり前だけど、カナダじゃ僕は「異邦人」だった。
ESL Classでは、皆より歳をとってた。
日本人でクリスチャンということで、クラスメートには不思議がられた。
神学校では英語が不自由な日本人ということで、皆にヘンに気を使ってもらってた。


僕は別に凄い人になろうとも思わないし、歴史に名を残そうっていう「野心」もない。
それこそ、『忘れられた日本人』の一人として、過去にうずもれて忘れられていくのが願いですらある。
一庶民として、平均的な日本人の心象に寄り添いつつ、人生を静かに終えていくのが願いといえば願いだ。
けれど、どうしてか、自然にしていると世間から少しずつズレてしまうのが、僕のようだ。


異邦の地にあって想っていたこと。
それは、自分の歩むべき道のこと。
今、僕は静かにそのことを思い返している。
そして、少しずつ、それは確信へと変わりつつある。


きっと、人にはそれぞれの歩むべき道筋があると思う。
僕の友達が言った、
「人間には二つの別れしかない。生き別れか、死に別れのどちらかだ。」
これから僕も、たくさんの人と出会い、そして別れていくだろう。
喜ばしい出会いと別れもあれば、痛みに満ちたものも僕を待っているだろう。
けれど、どうやら、僕には、今僕が見ている道しかないような気がする。
きっとそうなんだ、という確信がある。


30歳を手前にした男の、つまらないつぶやきだと思う。
このblogはそんな言葉の数々の吹き溜まりのようなものだ。
けれど、そんなつまらない男にも、それなりの歩むべき道があるのだと、今、僕は思うようになった。


暑い夏の最中に、秋の訪れを感じた、八月十四日の夕暮れ。


それでは、また、どこかで。
See you again, in this life.