さよならストレンジャー。
当たり前だけど、カナダじゃ僕は「異邦人」だった。
ESL Classでは、皆より歳をとってた。
日本人でクリスチャンということで、クラスメートには不思議がられた。
神学校では英語が不自由な日本人ということで、皆にヘンに気を使ってもらってた。
僕は別に凄い人になろうとも思わないし、歴史に名を残そうっていう「野心」もない。
それこそ、『忘れられた日本人』の一人として、過去にうずもれて忘れられていくのが願いですらある。
一庶民として、平均的な日本人の心象に寄り添いつつ、人生を静かに終えていくのが願いといえば願いだ。
けれど、どうしてか、自然にしていると世間から少しずつズレてしまうのが、僕のようだ。
異邦の地にあって想っていたこと。
それは、自分の歩むべき道のこと。
今、僕は静かにそのことを思い返している。
そして、少しずつ、それは確信へと変わりつつある。
きっと、人にはそれぞれの歩むべき道筋があると思う。
僕の友達が言った、
「人間には二つの別れしかない。生き別れか、死に別れのどちらかだ。」
これから僕も、たくさんの人と出会い、そして別れていくだろう。
喜ばしい出会いと別れもあれば、痛みに満ちたものも僕を待っているだろう。
けれど、どうやら、僕には、今僕が見ている道しかないような気がする。
きっとそうなんだ、という確信がある。
30歳を手前にした男の、つまらないつぶやきだと思う。
このblogはそんな言葉の数々の吹き溜まりのようなものだ。
けれど、そんなつまらない男にも、それなりの歩むべき道があるのだと、今、僕は思うようになった。
暑い夏の最中に、秋の訪れを感じた、八月十四日の夕暮れ。
それでは、また、どこかで。
See you again, in this life.
日本の夏。
カナダの夏は、静かだ。
ちょうど学年の切り替わりの時期ということもあって(6月に日本で言うところの年度が終わる)、学校には人の姿はまばらだ。
もともと日本ほど人がいないということもある。
しかしなにより、日本の夏に欠かせない存在がカナダにはいない。
それはセミだ。
朝から鳴き続ける彼らの存在は、僕ら日本人にはきわめて当たり前だけれども、少なくとも僕がいた街にはセミの鳴き声は聴こえなかった。
今は、夕暮れ。
外ではヒグラシが鳴いている。
カナダの夏は過ごしやすいけれども、日本の夏も捨て難い。
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