茨木のり子一周忌。

茨木のり子さんは、僕の好きな詩人の一人でしたが、昨年の二月に79歳で亡くなられました。
僕が大学生のとき、彼女の詩には励まされた、というより叱咤されました。


彼女の詩の中で僕が一番大切にしているのが、『自分の感受性くらい』という作品。
成長していくこと、生きていくことの中で、自分のなかに澱のように溜まっていく何か。
自らの境遇や性格のせせこましさに、落胆してみたり、逆に開き直ってみたり。
でも結局それらは、自分じしんの弱さによるではないか。
薄々気づきながらも、出来るだけ見ないようにしてきた、己の弱さ、醜悪なプライドのようなもの。
中島敦の『山月記』と並んで、僕の青春を彩った作品の一つです。

自分の感受性くらい

自分の感受性くらい

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)