CT Book Awards 2000

via 本を枕に−編集者の日々で、Christianity TodayのApr.2000を調べてみました。
"CT Book awards 2000"と題して、二十世紀の宗教書ベストテン(ベストテンに入らなかったものも合わせて、計100冊)が取り上げられています。


興味深かったのは、トマス・クーンとか、マックス・ヴェーバーとかもノミネートされてたということ。
これまで、僕のなかのChristianity Todayのイメージはバリバリの福音派っていう感じだったんですが、随分と広いパースペクティヴを持ってるのかな、という印象を持ちました(紙面を読むとちゃんと分かるんですが)。


ノミネートされていたヴェーバーの著作は、

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

だったんですが、この著作はキリスト教業界でどんな風に読まれてるか気になりますねー。
プロテスタンティズム(特にReformed)が、近代資本主義を造り上げる要因の一つであった」というのがヴェーバーの趣旨なんですが、これを日本のキリスト者はどんな風に受け止めてるのかなーと気になります。
大学院のゼミで学んだことなんですが、ヴェーバーの比較宗教社会学の本来の意図は、「近代社会あるいは近代資本主義が何故こんなふうになってしまったのか」ということであり、そこには近代を肯定する意図はさらさら無く、むしろ「何故こんなおかしな社会が出来上がってしまったのか」という近代社会の「異常性」の根拠を追求することであった、ということです。
つまり、ヴェーバーは近代の「異常性」の根拠をプロテスタンティズムに求めているのであって、よくある誤解としての「近代社会はその本来的な動力としてのプロテスタンティズムを失ってしまったから、ダメになってしまった」というのとはまるで逆の結論を導き出している、ということです。


もちろん、ヴェーバーの議論はキリスト教プロパーの議論の文脈からは大きく外れていますが、またそれゆえに、重要な問いを投げかけているとも言えるとも思います。

マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)

マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)