生活。

小さくない成功や失敗を繰り返す中で、人は自分の歩むべき道を見出していくのだろうけれど、その過程で「喪失感」に似た感情を人は抱える。

今ある自分が 俺の全てだなんて 思いたくは無かった
空だけがやけに青くて さまよう俺 照らしている
 エレファントカシマシ『すまねえ魂』

という歌詞は、その感情を端的に僕らに伝える。


ただ、僕は思う。
それはきっと、多分に喪失なのだろう。
けれど、夢から覚めて見上げた空の青さと、まどろみの甘さ・優しさを比べるなら、今の僕は前者を選ぶ。
たとえそれが、東京の空のように排ガスにまみれたものでも。


僕はニヒリズムの裏返しとしての原理主義や敗北主義を信じないし、認めない。
それは怠惰だと思うし、それ以上に残念なことだ。
割り切れなさを抱えたまま、しかしそれでも人が生きていくのは、そこに何らかのよろこびがあるからだ。
何か分かったような気分にさせる「わかりやすい」言説が飛び交う今日、僕らの混沌とした「生活」の只中でこそ味わうことの出来る豊かさを、どうやって伝えたらよいのか。
年下の友達と話して、そんな事を思った。


町を見下ろす丘

町を見下ろす丘