少子化と自殺。現代社会論メモ。

現代の日本において、少子化と自殺は、ひとつの大きな潮流の顕著な表れ方であるように思う。
端的に言って、日本において、単純に<生きること>を喜ばしいこととして受け止められなくなってきているのではないか。


子どもを生み育てるということは、自分にある自由や財産のいくらかを断念してでも、愛するものとの結合のうちに生まれ来る者への愛を選び取るということだろう。


生き続けるということは、生にまとわりつくさまざまなしがらみや苦悩、葛藤等を受け止めつつ、なおも自身の生が持つ<よろこびへの可能性>を信じつづけるということによって支えられていると言えるだろう。


前者にあっては、次に生まれ来る者について<合理的な>計算をほどこさなくては、今生きている者の生存が脅かされる、という社会構造的課題が存在する。
世代間の生の価値計算を強いる社会。
疎外された主体によって生み出される<合理的>な結末。


後者にあっては、未来が現在よりも希望あるものであるという、平均的な人間にとって生の基盤となる信頼をゆるがすような、社会構造的課題が存在する。
同調圧力。多様性フォビア。貧困。希望格差社会